所蔵品
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碧釉組鉢

作者が自身の窯を開いて10年ほど経った頃の作品である。絞りこんだ高台から広がるフォルムは緊張感を持ちながら軽やかである。器の内外に刻筋が走るが、これは独自に工夫を凝らした飛びがんなを駆使したもので、20種以上のかんなを試作し実験を重ねた末の結果という。半磁器とは、陶土と磁土を混ぜて使用したもので、陶器と磁器の性質を併せ持った素地である。銅とコバルトの入った透明感のある碧釉(へきゆう)は華やかで深く、紺碧の宇宙を見せてくれる。
作者は愛媛県生まれ。岡山商科大学商学部の学生時代に禅に関心を持ち、総社市の井山宝福寺(少年時代の雪舟が涙で鼠を描いたエピソードで知られる)に通いつめたことが陶芸を目指す端緒となった。卒業後、世界数十カ国を旅して見聞を広めた。心に焼きついた空の色、海の色は、作者が追求する青の世界の原風景である。昭和50(1975)年に東広島市で太祖窯を開き、昭和59(1984)年に本作で第31回日本伝統工芸展奨励賞、平成2(1990)年ヒロシマアートグラント’90受賞など活躍を重ねている。
名称 碧釉組鉢 へきゆうくみばち
作者名 木村芳郎 キムラ・ヨシロウ
時代 昭和59年
材質 半磁器
サイズ (大)高10.2 径30.5(小)高6.5 径18.3
員数 1組
その他の情報
指定区分
分野