広島県立美術館について
館長あいさつ
館長:千足 伸行
館長:千足 伸行
当館は昭和43年(1968年)、中国地方初の公立美術館として、浅野家の大名庭園である「名勝 縮景園」に隣接して開館いたしました。その後、平成8年に全面リニューアルオープンし、以来、県内の美術館活動をリードするとともに、庭園と美術館を同時に楽しめる憩いの場として県民の皆様に親しまれてきました。
これまで、縮景園と隣接する当館の特徴を生かすため、「都会の中の憩いの空間」を基本コンセプトとして、美術館・縮景園の連携、特別展のさらなる充実と魅力向上、学芸員の育成等の取組を進めてまいりました。これにより美術館、縮景園相互の誘客率の向上、美術的価値の高い特別展(企画展)の開催、当館のコレクションにふさわしいテーマを毎回設定し、展示にも工夫を凝らした所蔵作品展(常設展)の開催に加え、本来のオーソドックスな美術の枠を超えた、小・中学生の皆さんにも親しんでいただけるような、夏休みのファミリー向け企画や、「南薫造展」のような優れた地元作家に焦点を合わせた、いわば当館学芸員による「手作り」の自主展などに取り組み、着実に成果を挙げております。
一方、県内の学校との連携、それぞれの地域・観光振興などへの対応など、美術館に課せられた課題は、従来の枠を超えた広がりを見せております。とりわけ昨今の新型コロナウイルスの感染拡大や、デジタル技術、ビッグデータを活用した社会のデジタル化の急速な進展など、当館を取り巻く環境も大きく変わりつつあります。
こうした状況を踏まえ、当館では、令和3年3月におおむね10年後の当館の目指す姿を定めるとともに、今後5年間の取組の方向性を示す「広島県立美術館運営方針」を策定いたしました。今後はこの方針の下、「感動を与え、豊かな心・地域への誇りを育む美術館」、「歴史ある庭園文化と美術鑑賞をともに楽しめる美術館」、「時代の先端を行く、地域に開かれた美術館」を目指すことで、県民とともに歩む美術館としてこれまで以上に様々な取組を加速していく所存です。皆さま方のこれまで以上のご支援、ご理解をいただければ幸いです。
広島県立美術館運営方針について
広島県立美術館では、これまでの取組や当館を取り巻く環境変化などを踏まえ、おおむね10年後の目指す姿を定めるとともに、今後の美術館運営の取組の方向性を示した「広島県立美術館運営方針」を策定しました。
計画期間
令和3年度から令和7年度までの5年間
目指す姿(おおむね10年後)
■感動を与え、豊かな心・地域への誇りを育む美術館
当館のコレクション・研究成果を生かした、広島固有の地域文化に光をあてる展覧会や、様々なジャンルに渡った、質の高い企画展が開催され、美術ファンから子供まで幅広い層の県民が、地域文化を身近に感じながら、作品に表現された多様な価値観に触れることができています。
■歴史ある庭園文化と美術鑑賞をともに楽しめる美術館
隣接する名勝「縮景園」や「観古館」(※)の跡地に立地している歴史的経緯を踏まえて、広島の歴史文化を発信し、県民の地域文化への理解促進につなげているとともに、県内外の多くの方に、美術鑑賞と庭園文化を同時に楽しめる「都会の中の憩いの文化ゾーン」を提供しています。
※ 旧広島藩主浅野家の収蔵美術品を一般公開した大名家による国内初といわれる私立美術館
■時代の先端を行く、地域に開かれた美術館
地域の中核美術館として、着実な美術館活動をベースに、デジタル技術も活用しながらウィズ/アフターコロナ時代における新たな美術館サービスを提供するなど、時代の変化に対応した美術館として県民に親しまれています。
基本方針(取組の方向性)
1 所蔵作品を生かした展覧会の魅力向上と発信強化
2 多くの県民が多彩なジャンルの美術に触れられる特別展の安定的運営の推進
3 縮景園との一体的運営とその歴史文化の発信
4 新時代の美術館運営システムの検討と本来機能の充実